2012年8月4日土曜日

かいじゅうたちのいるところ













「かいじゅうたちのいるところ」(モーリス・センダック/作 じんぐうてるお/訳 富山房 1975)

ある晩、マックスはオオカミのぬいぐるみを着ると、いたずらをはじめて、大暴れ。お母さんが、「このかいじゅう!」と怒ると、マックスも「おまえを食べちゃうぞ!」といい返します。とうとう、マックスは夕ごはん抜きで寝室に放りこまれてしまいました。

マックスが寝室に放りこまれると、寝室ににょきりにょきりと木が生えてきて、あたりはすっかり森や野原になります。マックスは船に乗り、1年と1日航海して、かいじゅうたちのいるところに到着します──。

センダックの代表作です。絵は、線画に色づけしたもの。登場人物は、マックスとかいじゅうたちのみ。お母さんはセリフだけの登場です。部屋のなかに木が生えてくると、絵は紙面いっぱいに広がります。かいじゅうたちの造形は、50年たったいまでも、まったく色あせていません。このあと、マックスはかいじゅうたちの王様になるのですが、さみしくなって、うちに帰りたくなり…と、物語は続きます。絵本の歴史に残る一冊ですが、そんなことより、いま読んでもとても面白い絵本です。1964年コールデコット賞受賞作。小学校低学年向き。

以下は余談です。「かいじゅうたちのいるところ」は1966年にも日本語訳されています。そのときのタイトルは、「いるいるおばけがすんでいる」(ウエザヒル翻訳委員会/訳 ウエザヒル出版社 1966)。奥付をみると監修委員は、木下一雄、黒崎義介、坂元彦太郎、ハル・ライシャワー、三島由紀夫。翻訳・編集委員は、園一彦、坂出寿栄、阪井妙子、M・ウエザビー、R・フリードリック。さて、どんな訳なのか冒頭を引用してみましょう。

《あたりが くらく なりました
 マックスぼうやの せかいです
 「こんやは なにを しようかな
 おおかみごっこを してみよう」

 「さあどうだ! おおかみぼうやの マックスだ!」

 「まあ こわい!」
 おかあさんが ふるえます
 びっくりぎょうてん ふるえます

 「たべちゃうぞ!」

  ぼうやが あまり さわぐので
 とうとう ぼうやは ねどこべや

 「ばんごはんも あげません!」

 ぼうやは ひとりで おこります
 おへやで ぷんぷん おこります》

ちなみに原文はこんな風です。

《The night Max wore his wolf suit and made mischief of one kind

and another

his mother called him “WILD THING!”
and Max said “I'LL EAT YOU UP!”
so he was sent to bed without eating anything.》

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