「あつさのせい?」(スズキコージ/作 福音館書店 1994)
とても暑い日、駅のプラットホームで、ウマのはいどうさんは、帽子をとって汗をぬぐっていました。すると、電車がやってきたので、急いでヒヒンと飛び乗りました。が、帽子をベンチに置き忘れてしまい、そこをキツネのとりうち君が通りがかりました。「おっ、カッコイイ帽子」と、帽子をちょっとかぶってみたとりうち君は、駅のトイレで鏡を見、自分のイカス姿にボーッとしてしまって、トイレにかごを置き忘れてしまいました──。
登場人物が、次つぎと忘れものをし、別の登場人物がそれを拾っては、別のものを忘れて…という仕掛けで話が進む絵本です。絵は、おそらく水彩による厚塗り。スズキコージの密度の濃い、ナンセンス味のある絵が、お話とよくあっています。このあと、キツネのとりうち君が忘れたかごを、ブタの三吉(さんきち)が拾います。かごにはお風呂の道具が入っていたので、一週間も風呂に入っていない三吉は、さっそく銭湯にでかけていきます。でも、銭湯をでるときシャンプーを忘れてしまい、そのシャンプーをウシの山口さんが拾って…と、お話は続きます。絵本の体裁は横長、文章は絵の横にタテ書きで記されていて、舞台や映画を思わせます。裏表紙に映画の撮影風景がえがかれているのは、映画のような感じをねらったと作者が種明かしをしているのでしょう。小学校低学年向き。
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