2012年7月19日木曜日

ちっちゃなかいぞく

「ちっちゃなかいぞく」(デニス・トレ/作 アレイン・トレ/作 麻生九美/訳 評論社 1979)

心のやさしいニコラスは、ちっちゃな海賊でした。ニコラスが好きなのは、船のそばにやってくる魚にエサをあげたり、マストのてっぺんの見張り台に花を植えたりすることでした。獲物がなくてひまな日、海賊たちはラム酒を飲んで海の歌をうたうのですが、ニコラスは空の酒ビンのなかにちっちゃな船をつくりました。

ニコラスは、上陸するたびに脱走しましたが、いつも失敗します。海賊たちは利口なニコラスを、絶対手放すもんかと思っているのです。ニコラスの一番の友だちは、毎日絵を描いている引退した老水夫でしたが、「ごくつぶしめ」と親分にいわれ、船を降りることになります。そこで、別れの記念に、老水夫はニコラスの背中に、宝のありかをあらわす地図をえがいてくれます。ですが、海賊の子分がそれをこっそりのぞいていて──。

心やさしい、ちっちゃな海賊ニコラスのお話です。絵は、マーカーでさっと描いたような、可愛らしいもの。このあと、ニコラスを追っかけた親分は海に落ち、心やさしいニコラスは海に飛びこんで親分を助けます。おかげで、背中の地図は消えてしまい、親分はニコラスを船から降ろしてくれて、自由になったニコラスは、ひとまずおじいさんが教えてくれた宝島にいって…とお話は続きます。絵もお話も明快、明朗、大変愉快な一冊です。小学校低学年向き。

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