「ろばのナポレオン」(レギーネ・シントラー/文 エレオノーレ・シュミート/絵 うえだまにこ/訳 福音館書店 1995)
ロバのナポレオンは、きょうも石垣のなかで静かに立っていました。そばを通るひとたちは、みんなナポレオンと仲良しで、やさしくなでていくひともたくさんいました。ナポレオンのところに、毎日、大きなカラスが一羽くるようになり、みんなは「カラスは不幸せをもってくるんだぞ」などといいましたが、ナポレオンはいつも、「きみの巣におつかい」といって、干し草をひと口あげました。
さて、ある日のこと、ナポレオンの飼い主のマーラが病気になってしまいます。お金がなくなり、とうとうナポレオンをお百姓に売り渡してしまいます。お百姓のところで重い荷物をはこぶことになったナポレオンは、夜になると疲れて、悲しくて、すぐ眠ってしまいます。すると、ある朝、「やっとみつけた」と、あのカラスがやってきて──。
スイスの絵本です。素朴な、あたたかみのある絵は、おそらく色鉛筆と水彩で描かれたもの。このあと、ナポレオンはやってきたカラスにまた干し草をあげようとするのでいすが、するとカラスこういいます。「わたしの巣はもうできあがったのよ。でも、あなたの贈りものは頂くわ。いいことにつかえるから」。そして、カラスはマーラのところに飛んでいきます。悲しい目にあったナポレオンでしたが、最後はまた幸せにな暮らしにもどります。小学校低学年向き。
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