「賢者のおくりもの」(オー・ヘンリー/文 リスベート・ツヴェルガー/画 矢川澄子/訳 1983 富山房)
あしたはクリスマスなのに、デラの手元には、1ドル87セントしかありませんでした。夫のジムに、なにかふさわしいものをあげたいのですが、週20ドルの収入ではどうにもなりません。デラは、髪をふりほどき、姿見に写しました。デラの髪とジムの金時計は、2人のなによりの自慢です。街へでたデラは、20ドルで髪を売り、あちこちの店をまわって、ジムの金時計にふさわしいプラチナの時計鎖を21ドルで買ってきました。
家に帰ったデラは、短くなった髪をととのえ、料理をし、ジムが帰ってくるのを待ちます。いつもとおなじように、時間通りに帰ってきたジムは、デラの顔を穴があくほどみつめます──。
ご存知、O・ヘンリの「賢者のおくりもの」です。話は有名ですが、じっさいに読んでみると、饒舌な語り口が印象に残ります。ツヴェルガーはここでも端正な仕事をしています。登場人物のしぐさを絵にすることに徹し、比喩を絵にしたりすることはありません。その繊細な筆づかいは、2人の品格をいっそう高めています。小学校高学年向き。
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