「ぼくにげちゃうよ」(マーガレット・W・ブラウン/文 クレメント・ハード/絵 いわたみみ/訳 ほるぷ出版 1978)
あるところに、子ウサギがいました。ある日、子ウサギは家をでて、どこかにいってみたくなりました。そこで、母さんウサギにいいました。「ぼくにげちゃうよ」。すると、母さんウサギはいいました。「おまえが逃げたら、母さんは追いかけますよ。だって、おまえはとっても可愛い、わたしの坊やだもの」
「ぼくは小川の魚になって泳いでいっちゃうよ」と子ウサギがいうと、「母さんは漁師になって、おまえを釣り上げますよ」と、母さんウサギがいいます。「母さんよりもずっと背の高い山の上の岩になる」と、子ウサギがいうと、「母さんは登山家になっっておまえのところまで登っていきますよ」と、母さんウサギはいいます──。
作者は、「おやすみなさいおつきさま」を手がけたひとたち。白黒とカラーが交互にくる構成で、白黒ページでは、子ウサギと母ウサギの会話が記され、カラーページでは、その会話にもとづいた絵が見開きでえがかれます。「漁師になっておまえを釣り上げますよ」の場面では、次のカラーページに、長ぐつをはいて川に入り、子ウサギの鼻先にむけてニンジンをキャスティングする母さんウサギがえがかれています。どんどん変身を続ける子ウサギと母さんウサギのやりとりは、大変ユーモラス。今後とも読まれ続けていくであろう傑作絵本です。幼児向き。
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