「ぺにろいやるのおにたいじ」(ジョーダン/文 吉田甲子太郎/訳 山中春雄/絵 福音館書店 2009)
山の上に、王様の城がありました。谷の真ん中に鬼の城がありました。鬼は、王様の城にいくひとたちを、いつもおどかしていました。そこで、「ぼくがやっつけてやろう」と、王子のロジャーは黒馬のハリケーンに乗って、勇ましくでかけました。
でも、ロジャーとハリケーンは手もなく鬼につまみ上げられ、放りだされてしまいます。小さくなって逃げ帰った王子と馬は、もとの大きさにもどるまでに2日も3日もかかってしまいます。王子は今度は兵隊と大砲をしたがえて、鬼の城にでかけるのですが、それでも鬼にはかないません。つぎは鬼が攻めてくると、みんな地下室に逃げこみます。すると、いつもみんなからお人好しの意気地なしと思われていた、ぺにろいやるが、「ぼくが鬼のところへいって、どこかに引っ越してもらうように頼んでこよう」と、石けり玉と凧とタイコをもって、鬼のところへでかけていきます──。
1957年に月刊「こどものとも」に発表され、2009年に絵本となった作品です。絵は、パステルカラーが美しい、童画めいたもの。このあと、ぺにろいやるは鬼の城におもむくのですが、剣や大砲ではなく、おもちゃをもっているぺにろいやるを、鬼は邪険にすることができません。お面をはずし、男の子の姿となった鬼は、ぺにろいやると一緒に遊びます。王子や馬の大きさが変わったり、お城がいつのまにかテントになったりと、状況に応じて姿かたちが変化する、いかにもメルヘンといった趣きの可愛らしい一冊です。小学校低学年向き。
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