「たからもの」(ユリ・シュルヴィッツ/作 安藤紀子/訳 偕成社 2006)
昔、アイザックという男がいました。たいそう貧しく、お腹をすかせたまま床につくこともめずらしくありませんでした。ある晩、アイザックは夢をみました。「都へゆき、宮殿の橋の下で宝物を探しなさい」。朝、目をさましたアイザックは、「あれはただの夢だ」と思って、気にもとめませんでした。
しかし、それから2度も同じ夢をみたアイザックは、「もしかしたらほんとうかもしれない」と、都にむかって旅立つことにします。
シュルビッツは、「おとうさんのちず」や「よあけ」などで高名な絵本作家。本書でも、複雑な色あいの、美しい水彩画をえがいています。文章はいささかぶっきらぼうなもの。レイアウトは、左ページがほぼ空白で文章だけ、右ページに絵を小さめに載せています。このあと、アイザックは森を抜け、山をこえ、とうとう都にたどり着きます。宮殿の橋の下にはいつも何人もの衛兵がいるのですが、しいて宝物をさがそうとしないアイザックは、ただ橋のあたりを歩きまわって…。おそらく、お話はなにかの昔話だと思われます。1980年度コールデコット賞オナー賞受賞。小学校低学年向き。
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