「海賊日誌」(リチャード・プラット/文 クリス・リデル/絵 長友恵子/訳 岩波書店 2003)
1716年9月23日、10歳のジェイク・カーペンターは、ノースカロライナ州のホリオークという村から、船乗りになるために、チャールストンの港にいくことになりました。医者をしているジェイクの父さんは、息子が医者になる前に広く世間を知るべきだと考えて、甲板員をしている弟のウィル(ウィルおじさん)に、ジェイクを預けることにしたのでした。
さて、9月25日火曜日、いざチャールストンに着いてみると、乗るはずだったサリー・アン号の姿がみえません。ウィルおじさんが港湾長にたずねたところ、思ったより早く積み荷があつまったサリー・アン号は、夕潮に乗って出帆してしまったということです。そこで、2人は乗組員をさがしているグレイハウンド号に乗りこむことになり──。
歴史絵本、あるいは知識絵本の一冊です。絵は、非常に具体的かつ説明的。巻末には、時代の説明や、海賊についての解説、索引や参考文献が記されています。物語は波瀾万丈。2人が乗りこんだグレイハウンド号のニック船長は残酷なひとで、へまをしたジェイクを部下に命じてムチ打たせようとします。「やめてくれ」と頼んだウィルおじさんは、ジェイクの代わりにムチ打たれ、ボートに乗せられ海に放りだされてしまいます。その後、グレイハウンド号は海賊の襲撃をうけ乗っとられ、海賊のヘンリー・ジェニングスとともにスペイン人の野営地を襲うことになり…と、リアリティのある興味深いストーリーがまだまだ続きます。本書の姉妹編に「中世の城日誌」(2003)があります。ケイト・グリーナウェイ賞受賞。小学校高学年向き。
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