「シーフカ・ブールカ まほうの馬」(M・ブラートフ/再話 松谷さやか/訳 B・ディオードロフ/絵 福音館書店 1997)
昔、あるところにおじいさんが住んでいました。おじいさんには3人の息子がいて、末の息子は“イワンのばか”と呼ばれていました。あるとき、みごとに小麦が実ったおじいさんの畑を、何者かが夜のうちにめちゃくちゃに踏み荒らしてしまいました。そこで、おじいさんは3人の息子に見張りを命じました。上の息子たちは、居眠りをしていて気づきませんでしたが、イワンは目をさまし、悪いやつがくるのを待ちかまえていました。
イワンの前にあらわれたのは、銀色と金色の毛なみをした、耳から煙が立ちのぼり、鼻から炎を吹く魔法の馬でした。イワンは魔法の馬に縄をかけ、背にとび乗ってしがみつきます。馬はイワンを振り落とそうとしますが、とうとう降参し、「はなしてください。あなたのためになんでもしますから」といいだします。「よし、わかった。はなしてやろう。だけど、おまえをみつけたいときはどうすりゃいいんだい?」とイワンが訊くと、馬はこうこたえます。「広い野原にきて、いきおいよく三度口笛を吹いてから、大きな声でこう叫んでください。“シーフカ・ブールカ魔法の馬よ、さあ駆けてこい”って」
ロシアの昔話をもとにした絵本です。絵を描いたのはロシアのひと。色づかいや風俗のえがきかたなど、その国のひとにしかだせないと思われる味わいがあります。このあと、「高い塔の窓辺にすわっているエレーナ姫のところまで馬で飛び上がり、姫の指から金の指輪を抜きとった者が姫のむこになる」という、王様のおふれがだされます。イワンは魔法の馬のいうとおり、馬の右耳から入り、左耳からでて美しい若者になると、塔のエレーナ姫にむかって飛び上がります。このときは、姫のところまで、あと丸太三本分だけたりなかったのですが、次の日は…と、お話は続きます。男の子版シンデレラといったおもむきのある一冊です。小学校低学年向き。
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