「ふしぎの森のミンピン」(ロアルド・ダール/作 パトリック・ベンソン/絵 おぐらあゆみ/訳 評論社 1993)
ビリーはずっと前から“あやまちの森”と呼ばれる大きな黒ぐろとした森を探検してみたいと思っていました。でも、ママはいいました。「あの森には、チヲスイ・ハヲヌキ・コナゴナニシテポイがいるの。そいつは鼻から熱い煙を吹きだしながら追っかけてくるの」。ビリーは、ママはぼくを怖がらせようとしているだけだと思いました。
ある日、ビリーは窓から抜けだし、“あやまちの森”に入りこみます。すると、荒あらしい鼻息の音が聞こえ、オレンジ色の煙がビリーのほうにむかってきます。あれが、チヲスイ・ハヲヌキ・コナゴナニシテポイなんだ、とビリーは命からがら逃げだすのですが──。
カバー袖の文章によれば、本書はロアルド・ダールが子どものために書いた最後の作品だということです。絵を描いたのは「よるのおるすばん」のひと。線画に水彩で着色された、とても細密にえがかれた絵は、じつに迫力と雰囲気があります。このあと、木によじ登ってバケモノをやりすごしたビリーの前に、ミンピンと呼ばれる小人たちがあらわれます。ビリーは、バケモノを退治する作戦を考え、ミンピンと協力し、白鳥の背に乗って…と物語は続きます。そして、バケモノを退治しても、まだまだミンピンとビリーの物語は続きます。印象的な絵とともに語られた、物語の楽しさに満ちた一冊です。小学校中学年向き。
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