「いしになったかりゅうど」(大塚勇三/再話 赤羽末吉/絵 福音館書店 1981)
昔、モンゴルにハイブリという若い狩人がいました。ハイブリはとても親切で、鳥やけものをとってくると自分だけのものにせず、ほかのひとにも分けてあげたので、みんなにとても好かれていました。ある日のこと、山奥へ狩りにいったハイブリは、木の下で眠っている小さな白いヘビをみつけました。ヘビを起こさないように、そっとわきを通ろうとすると、ふいに大きなマナヅルがやってきて、白いヘビを食わえ、空に舞い上がりました。ハイブリが急いで矢を射ると、マナヅルは白いヘビを落として逃げていきました。
次の日、きのうと同じ場所にきたハイリブのもとに、たくさんのヘビたちが一匹の白ヘビをとりかこんでやってきます。白ヘビはじつは竜王の娘で、父と母がお礼をしたいというので、お迎えにきたとハイリブに告げます──。
モンゴルの民話をもとにした絵本です。このあと、白ヘビはハイブリに忠告をします。お父さんとお母さんがなにかさしあげたいといったら、お父さんが口のなかに入れている宝の玉がほしいといいなさい。その玉を口に入れれば、あなたは鳥やけものの言葉がなんでもわかるようになります。でも、けっしてほかのひとに話してはいけません。もし話したら、あなたは石になって死んでしまうのです。白ヘビのいうとおりにしたハイブリは、鳥やけもののことばがわかるようになり、おかげで狩りをするのがとても楽になります。ところが、ある日、鳥たちが「早く逃げよう。あしたはここらの山がみんなくずれるぞ。大水があふれだし、野原なんか水びたしになる」と話しているのを耳にして…とお話は続きます。動物の声が聞こえるようになった場面や、ハイブリが石になってしまう場面、大水の場面など、赤羽末吉さんのすばらしい仕事が堪能できます。小学校中学年向き。
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