「クリスマスのちいさなおくりもの」(アリスン・アトリー/作 上條由美子/訳 山内ふじ江/絵 福音館書店 2010)
「今夜はクリスマスイブだよ。どうしてなんにも飾りつけがしていないんだ。どうしてクリスマスのお祝いのしたくができてないんだ」と、一匹のネズミが、椅子の下からキーキー怒っていいました。すると、暖炉の前で寝ていたネコがいいました。「おかみさんは病気で入院しているし、子どもたちだけじゃなんにもできないだろ。だんなさんはすっかりふさぎこんでいるしね」。すると、ネズミはいいました。「ネコさん、あんたがなんとかしてくださいよ」
ネコはネズミたちに指示をだし、子どもたちのくつ下をとりにいかせ、暖炉の前のひもに下げさせます。それから、ミンスパイづくりにとりかかり、それが焼けるあいだ、太ったクモのおばあさんが部屋中にめぐらせたキラキラ光る糸に、ネズミたちが色とりどりの紙をかじってつくったお飾りを飾ります。そして、パイが焼けたころ、サンタクロースがやってきます――。
アトリーは、「時の旅人」(評論社 1981)や「グレイ・ラビットのおはなし」(岩波書店 2000)などを書いた名高い作家です。絵本作品には「むぎばたけ」などがあります。また、山内ふじ江さんは、「黒ねこのおきゃくさま」(ルース・エインズワース/作 福音館書店 1999)の絵を描いたことで高名です。本書は、ネコとネズミが協力してクリスマスのしたくをするクリスマス絵本です。淡い、柔らかみのある色づかいで、ネコもネズミもとても愛らしくえがかれています。小学校低学年向き。
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