「ねこのパンやさん」(ポージー・シモンズ/作 松波佐知子/訳 徳間書店 2006)
あるところに、パン屋ではたらくオスネコがいました。パン屋の主人は意地悪で、奥さんは怠け者でした。ネコは、パンの生地をつくったり、リンゴを薄切りにしたり、パンを焼いたり、洗いものをしたりといったパン屋の仕事を、みんなやらされていました。おまけに、夜はネズミを捕まえるようにいわれました。でも、一日中こきつかわれたネコに、ネズミを捕まえる元気などありません。すると主人は、「ネズミをとらなきゃおまんまはなしだ」といって、ネコの朝ごはんをどんどんへらしていきました。
はたらきづめのネコはくたびれてはてて、だんだんやせて、泣いてばかりいるようになってしまいます。それを気の毒に思ったネズミたちは、自分たちを追いかけないという条件で、ネコの助勢を買ってでます──。
「せかいいちゆうめいなねこフレッド」や「せかいいちゆうかんなうさぎラベンダー」の作者、ポージー・シモンズによる絵本です。漫画風にコマ割りされた絵本で、ネコもネズミもじつに生き生きとえがかれています。物語はこのあと、ネズミたちの助けにより、一度は主人に認められ、朝ごはんをたくさんもらえるようになったネコでしたが、あるとき主人にあしたの朝までに、メレンゲ菓子を30個、ジャムタルトを40個、くるみのブラウニーを48個つくるようにいわれ、しかも材料はみんなネズミが食べてしまっていて…と、物語は続きます。パン屋のネコと手芸が得意なネズミたちの活躍をえがいた、楽しい一冊です。小学校中学年向き。
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