2011年10月6日木曜日

ちゃぼのバンタム












「ちゃぼのバンタム」(ルイーズ・ファティオ/文 ロジャー・デュボアザン/絵 乾侑美子/訳 童話館出版 1995)

デュモレさんの農場にいるニワトリの群れのなかに、たった一羽、目立ってからだの小さなニワトリがいました。この鳥は、ほんとうはニワトリではなくチャボでした。きれいで賢いチャボという鳥が好きなデュモレの奥さんが、ニワトリの巣のなかに、こっそりチャボのタマゴを忍びこませておいたのでした。

農場には、「大将」と呼ばれる、からだの大きなニワトリがいました。大将はいつも農場の門の上に立って胸を張り、声高らかに時をつくりました。いっぽうバンタム(チャボという意味)と名づけられたチャボの子は、大将のように時をつくってみたいと思っていました。でも、コケコッコーとはじめようとすると、たちまち大将が飛んできて、庭から追いだされてしまいました。バンタムは、メンドリのナネットが好きでしたが、ナネットに近づこうとすると、やっぱり大将に追い返されてしまいました。

「がちょうのペチュニア」シリーズ(富山房)などで高名な、デュボアザンによる絵本です。白黒とカラーページが交互にくる構成ですが、カラーは色味が統一されており、ぜんたいに渋い印象をあたえています。このあと、大将にやられてばかりいるバンタムは、すっかり意気消沈し、デュモレさんも「メンドリを守る仕事は大将に任せておけばいいからね。あしたの朝、バンタムを町の市場にもっていって売るとしよう」などというのですが、翌朝、農場にキツネが入りこんできて…と、物語は続きます。小さなチャボのバンタムが、大きな勇気をみせるお話です。小学校低学年向き。

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