「むこうがわのあのこ」(ジャクリーン・ウッドソン/文 E.B.ルイス/絵 さくまゆみこ/訳 光村教育図書 2010)
わたしたちは柵のこっち側に住んでいました。柵のむこう側には白いひとたちが住んでいました。「むこう側にいってはだめよ。危険ですからね」とママはいいました。その夏、女の子がひとり、柵のところにやってきました。そして、毎朝柵にのぼって、こっちをじっとみていました。
女の子はいつもひとりです。ある日、なわとびをしているわたしたちに、「入れて」といってきます。でも、仲間のひとりのサンドラは「だめ」といい返してしまいます。女の子は町で会ってもさみしそうだし、雨のなかでも柵のそばでひとりで遊んでいます──。
白人の女の子と黒人の女の子が出会う絵本です。ジャクリーン・ウッドソンは「ミラクルズボーイズ 」(理論社 2002)などで著名な児童文学作家。E・B・ルイスは「かあさんをまつふゆ」などをえがいた画家です。このあと、女の子は〈わたし〉に、「アニー」と名乗ります。アニーは柵にのぼって、「この上にのぼるといい気分なの。ずっと遠くまでみえるよ」といいます。「こういう柵は、腰かけるためにあるのよ」。絵は水彩、この絵本でもE・B・ルイスは女の子たちの表情やしぐさを、じつにみごとにとらえています。小学校中学年向き。
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