「かあさんをまつふゆ」(ジャクリーン・ウッドソン/文 E.B.ルイス/絵 さくまゆみこ/訳 光村教育図書 2009)
「ねえ、エイダ・ルース。シカゴでは黒人の女でも雇ってくれるんですって。戦争があって男たちがみんなたたかいに出ていってしまったからよ」。そういって、母さんはシカゴにはたらきにでかけましたが、手紙もお金も届きません。「何度も手紙をだしてごらん」と、おばあちゃんにいわれ、わたしはせっせと手紙を書きます──。
家にやってきた子ネコを、わたしは可愛がります。「ネコなんか飼えないんだよ」といいながら、おばあちゃんはお皿にミルクを入れ、床に置いてくれます。ラジオからは、戦争のことや死んだ兵隊さんのことが流れてきます。わたしは目をつむり、すぐにもどることなんかできなくなった兵隊さんのために祈ります──。
タイトル通り、冬のあいだ母さんを待つ女の子の絵本です。絵は、写実的で、かつ情感にあふれた素晴らしいもの。文章は〈わたし〉の1人称です。シカゴにいったら汽車を洗う仕事につくといっていた母さんを思いだし、〈わたし〉はこう思います。「わたしも いつか、ひろい せかいを 見に いこう。たぶん きしゃに のって」。2005年度コールデコット賞オナー賞受賞。小学校中学年向き。
0 件のコメント:
コメントを投稿