「さよならエルマおばあさん」(大塚敦子/写真・文 小学館 2000)
ぼくの名前はスターキティ。8歳のオスネコです。2歳のとき、エルマおばあさんのところにもらわれてきました。おばあさんの家は、アメリカ北西海岸のヴォーンという小さな町にあります。エルマおばあさんは、12年前におじいさんが亡くなったあと、娘のパットとその夫のエド、そして孫のブライアンと暮らしています。ある日、エルマおばあさんは、お医者さんから「多発性骨髄腫」という、血液のガンにかかっていることを知らされました。「わたしの命はあと1年くらいだろうから、いろいろ準備をはじめないとね」と、おばあさんはいいました。
エルマおばあさんは家族の歴史を書くことにします。病気とわかってからも、これまでの生活を楽しみます。外出するときは化粧をし、庭の草花の手入れをします。でも、だんだん病気が進んで、立ち上がるのにも助けがいるようになり──。
ネコの視点から語られる、死をむかえるエルマおばあさんの姿をえがいた写真絵本です。モノクロの写真は、日毎に弱っていくエルマおばあさんの尊厳を写し撮ってあまりあります。ほとんど寝たきりになったエルマおばあさんはこういいます。「わたしはね、これまでの人生でいまがいちばん幸せだよ。いろんな失敗や、つらかったこともいまはいい思い出だし、仲たがいした人のことも、いまは許せるから。なぜその人が、あのときああしなければならなかったのか、その理由がわかるようになったからなんだよ…」。それから、こんなことも。「わたしは、自分の死ぬ日を決めたからね。その日付を紙に書いてかくしておいたから、わたしが死んだあとさがしてごらん」。巻末に、著者のあとがきと、「子どもにどう死を教えたらいいか」という、季羽倭文子(きばしづこ)さんによる文章が記されています。小学校中学年向き。
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