2012年5月30日水曜日

夜のスイッチ










「夜のスイッチ」(レイ・ブラッドベリ/文 マデリン・ゲキエア/絵 北山克彦/訳 晶文社 2008)

昔、〈夜〉の嫌いな男の子がいました。男の子が好きなのは、ランタンにランプ、たいまつにロウソク、灯台にかがり火に懐中電灯。大嫌いなのは、明かりのスイッチでした。なぜなら、明かりのスイッチは、部屋の明かりを消してしまうからです。

夜の嫌いな男の子は、ほかの子どもたちが夏の芝生で遊ぶのをみても、外にでようとはしません。ひとりぽっちで明るい部屋にいます。すると、ある夜、だれかが窓をコツコツと叩きます──。

レイ・ブラッドベリは「火星年代記」などを書いたSF作家の巨匠。絵は、イラストレーションといったほうがよいような、洗練された味わいの線画です。紙の色や、レイアウトがページごとに変わり、トータルで幻想的な雰囲気をかもしだしています。このあと、ダークと名乗る女の子があらわれ、男の子はダークから夜のスイッチの入れかたを教わります。散文詩のような物語と、センスのよいイラストレーションがあいまった洒落た読物絵本です。大人向き。

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