「おかのうえのギリス」(マンロー・リーフ/文 ロバート・ローソン/絵 こみやゆう/訳 岩波書店 2010)
昔、スコットランドに、ちびっこギリスという男の子が住んでいました。ギリスのお母さんは谷間の村に生まれました。谷間の村のひとたちは、毛のもしゃもしゃした牛を飼って暮らしていました。ギリスのお父さんは山の村に生まれました。山の村のひとたちは、狩りでシカをしとめて暮らしていました。谷間の村のひとたちは山の村のひとたちを、山の村のひとたちは谷間の村のひとたちを、おたがい馬鹿にしていました。
さて、あるときギリスは1年間、谷間の村で暮らすことになります。牛の世話の手伝いをするようになったギリスは、草原にでた牛を呼びあつめるために、大きな声がだせるようになります。次の1年は、山の村で暮らすことになり、シカ狩りの手伝いをするようになります。ギリスは、シカを待ち伏せするために、長い時間息をとめていられるようになります。こうして、1年ごとに、谷間の村と山の村で交互に暮らし、ギリスの肺はどんどん強くなり──。
スコットランドを舞台にした読物絵本です。マンロー・リーフとロバート・ローソンは「はなのすきなうし」の作者として高名です。マンロー・リーフの荒唐無稽なお話に、ロバート・ローソンの絵が、厚みと説得力をあたえています。絵は白黒で、見開きの左ページが文章、右ページに絵という構成です。このあと、ギリスは谷間の村と山の村、どちらかを選ばなくてはならなくなります。そのとき、バグパイプ吹きの男があらわれて、話は思いがけない展開をむかえます。小学校低学年向き。
0 件のコメント:
コメントを投稿