2012年1月6日金曜日

ウィンクルさんとかもめ












「ウィンクルさんとかもめ」(エリザベス・ローズ/文 ジェラルド・ローズ/絵 ふしみみさを/訳 岩波書店 2006)

漁師のウィンクルさんは、いつもひとりぼっちでした。魚もあまりとれませんでしたし、話し相手はエサを食べにくるカモメばかり。仲間の漁師たちは、そんなウィンクルさんを馬鹿にしていました。ところが、ある日、海の魚がぱたりととれなくなってしまいました。普段は忙しい市場のおかみさんたちも、ずっと仕事がなくなり、魚屋のジョックは店を閉めてうちに帰り、ジョックのネコは日に日にやせていきました。トラック運転手のバートは、一日中カフェでお茶を飲み、市長は好物のニシンが食べられなくなってしまいました。

国中の学者があつまって研究をしましたが、どうしたらよいかわかりません。しかし、町中の漁師がすっかりあきらめてしまったあとも、毎日サリー号に乗って海にでていたウィンクルさんは、ある日、いつもエサをやっていたカモメが、ブイの上から、こちらにむかって鳴いているのに気がつきます。「ついてこいといってるんだね」と、ウィンクルさんはサリー号のエンジンをかけ、カモメのあとをついていくと──。

作者は、「おおきなかしの木」を描いたひとです。本書は、白黒ページとカラーのページが交互にくる構成。絵には躍動感とユーモアがあります。このあと、カモメのあとをついていったウィンクルさんは、カモメの群と、その下の海にいる魚の群にでくわします。ケイト・グリーナウェイ賞受賞作。小学校低学年向き。

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