「こかげにごろり」(金森 襄作/文 鄭香/絵 福音館書店 2005)
山を越え、また山を越えた山里に、それはのどかな村がありました。百姓たちははたらき者で、みんな助けあいながら暮らしていました。ところが、百姓たちに土地を貸している地主は、とても欲張りで、ひまさえあれば、家の前の木陰にすわって、百姓たちがしっかりはたらくように見張っていました。
ある夏の日のこと、地主は木陰でうとうとと眠りはじめました。汗びっしょりの百姓が、ひと休みしようと木陰に入ろうとしたとたん、地主は目をさまして百姓を怒鳴りつけました。「これはわしのじいさまが植えたものだから、この木陰もわしのものじゃ。入りたければ木陰を買いとってから入れ」。仕方なく、百姓たちはたくさんのお米やカボチャやブタやニワトリを村中からあつめて、木陰を買いとりました──。
韓国・朝鮮の昔話をもとにした絵本です。作者は、「おどりトラ」や「おばけのトッケビ」などの絵本をつくったひとたち。このあと、木陰がどんどん長くなるにつれ、百姓たちは木陰と一緒に、地主の家の前からなかへ入っていきます。そして、地主がご先祖様を供養するお祭りのとき、木陰はごちそうの上まで伸びてきて──と、物語は続きます。最後は、地主がいささか気の毒になってしまう一冊です。小学校低学年向き。
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