「川はながれる」(アン・ランド/文 ロジャンコフスキー/絵 掛川恭子/訳 岩波書店 1978)
はるか彼方の寒い北国、その山奥の、松の木の森で、雪が溶け、氷が溶けて、小さな川が生まれました。森の動物たちは大喜びしましたが、小さい川はまだとても川にはみえませんでした。だんだんと大きくなって、元気いっぱい流れはじめた川は、「どこへいけばいいんだろう」といいました。「ここにいれば」と、水を飲みにきたシカが勧めましたが、川はいいました。「だめだめ、川はどこかにむかって流れていくものなんだ。でも、それがどこだかわからない」
小さな川は、岩場を通り、平野を抜けて、湖にそそぎ、町の水路をくぐって、海にたどり着きます──。
川上から川下までの、川の旅をえがいた絵本です。おそらく色鉛筆でえがかれたと思われる絵は、落ち着いていて、それでいて鮮やかで、見応えがあります。最後、海にたどり着いた川は、「ぼくはいったいどうなってしまうんだろう」と不安にかられるのですが、それにこたえるカモメのセリフが印象的です。この絵本も、数ある傑作絵本の一冊でしょう。小学校低学年向き。
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