2011年9月8日木曜日

白雪姫と七人の小人たち







「白雪姫と七人の小人たち」(グリム/文 ナンシー・エコーム・バーカート/絵 八木田宜子/訳 富山房 1996)

冬のさなか、窓辺で縫いものをしていたお妃は、針でちくりと指を刺してしまいました。雪の上に落ちた三滴の美しい血のしずくを見て、お妃はこう思いました。「肌は雪のように白く、ほっぺたは血のように赤く、髪の毛はこの窓枠のように黒い子どもが生まれたらいいのだけれど」。しばらくして、お妃は望んだ通りの女の子を生み、その子は「白雪姫」と呼ばれました。ですが、子どもが生まれると、お妃は亡くなってしまいました。

一年後、王様は次のお妃と結婚します。このひとは美しい女でしたが、気位ばかり高く、自分より美しい女がいるのはがまんできません。鏡に、「鏡よ、鏡、だれが一番きれいかえ?」とたずね、「お妃、あなたが一番きれい」という返事を聞くのに満足していましたが、だんだん大きくなる白雪姫はお妃よりも美しくなり、とうとう鏡はこうこたえます。「この広間ではあなたがきれい。でも、白雪姫はだれよりもきれい」。そこで、お妃はひとりの狩人を呼び、白雪姫を森に連れだして殺し、証拠に肺と肝臓をもってくるように命じます──。

グリム童話の「白雪姫」をもとにした絵本です。ご存じのように、このあと狩人に見逃してもらった白雪姫は、森のなかで七人の小人とともに暮らしますが、白雪姫が生きていることを知ったお妃は、何度も白雪姫の命を狙いにきます。見開きの絵と、文章が、ほぼ交互にくる構成。特筆すべきはその絵です。精緻で美しい絵が、絵本全体の品格を高めています。小学校中学年向き。

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