「おうさまのくれたごほうび」(八百板洋子/再話 岡田知子/絵 「こどものとも」2010年1月号 福音館書店)
昔、あるところに年をとった仲のいい夫婦がいました。2人は朝早くから夜遅くまではたらいていましたが、暮らしはちっとも楽になりません。「縫いものの好きなばあさまに新しい縫い針を買ってやりたいなあ」と思いながら、おじいさんが森でたきぎをあつめていると、どこからか叫び声が聞こえてきました。おじいさんが声のほうに駆けつけると、王様が川の深みにはまっておぼれていました。
王様を助けたおじいさんは、お礼に金の塊をもらいます。それをかかえて歩いていると、馬に草を食べさせている馬飼いに出会います。馬と金塊を交換したおじいさんが、再び歩いていくと、今度は牛飼いに出会い──。
ブルガリアの昔話をもとにした絵本です。おじいさんはこのあとも、ヒツジ、ブタ、縫い針と交換をしていきます。最後にあっと思うようなことが起こりますが、そのあとの展開がこの話の真骨頂です。絵は、水彩の、余白を生かしたさっぱりしたもの。読み終えるとしみじみとした風情がただよいます。小学校低学年向き。
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