「ものぐさトミー」(ペーン・デュボア/作 松岡享子/訳 岩波書店 1977)
トミー・ナマケンボは電気仕掛けの家に住んでいました。朝になるとベッドは自動的に天井までもち上がり、トミーを下に落とします。トミーはするするっと寝間着から抜け、熱い湯の入った風呂おけにすべり落ちます。風呂おけには、電気水かき回し機がついていて、トミーのからだを洗います。乾燥室に落下したトミーは、からだを乾かし、電気歯磨きしぼり機がだした歯磨きをつかって、電気歯ブラシが歯を磨き、電気ぐしと電気ブラシがトミーの髪をとかします。さらに、自動着替え装置が、トミーに服を着せ、食堂で電気食事機がトミーにごはんを食べさせます。ごはんを食べ終わったトミーは、すっかりくたびれて、ぞっとするほど長い階段をのぼってベッドに向かいます。
ところが、ある夜、大雨が降り、電柱が倒れ電線が切れてしまいました。トミー・ナマケンボは4日4晩眠り続けました。5日目の朝、お腹がすいて目をさましましたが、さらに2日間眠り続けました。そして、電気仕掛けの家にまた電気が流れるようになると、再びベッドがうごきだし、トミーは7日前からの冷たい水のなかに落とされて――。
超がつくほどの怠け者、トミー・ナマケンボのお話。このあと、トミーは自動的にうごく機械により大変な目にあい、生活を変えることを決心します。絵も作者によるもの。さまざまな機械が面白くえがかれています。文章はタテ書きの読物絵本。絵本ではなく、文学に分類される本かもしれません。ラストがまた洒落ています。小学校低学年向き。
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