「トムテンのミルクがゆ」(スベン・ノルドクビスト/作 岸野郁枝/訳 宝島社 1993)
クリスマス・イブ、カールソンさんの家では、テーブルにごちそうを並べてお客様をもてなします。カールソンさんの家に住む、小人のトムテン一家も、カールソンさんたちがだしてくれるミルクがゆを、とても楽しみにしています。でも、トムテン・ママは心配です。サンタクロースがはじめてきたときから、カールソンさんたちはトムテンを大事にしなくなったのです。ずっと昔、カールソンさんたちがクリスマスのミルクがゆをだし忘れたときは、トムテン・パパはひどく怒って、次の年、カールソンさん一家を守ってあげないで、いたずらばかりしました。トムテン・ママはカールソンさんたちが大好きでしたから、カールソンさんたちが悲しむところなどみたくありません。そこで、トムテン・ママは、息子と娘、プルカとポルカを呼ぶとこういいました。「カールソンさんたちはみんなミルクがゆのことを忘れてるみたいだから、わたしたちがミルクがゆを納屋にはこんでこなきゃいけないの」。でも、トムテンは人間に姿をみられると、魔法の力を失ってしまうのです──。
北欧に住む小人、トムテン(トムテ)を主人公にした絵本です。「どくしゃのみなさんに」という前書きによれば、トムテンは赤いとんがり帽子をかぶり、白いひげをはやしていて、いたずら者ですが、農家の守り神でもあるそうです。年に一度、クリスマス・イブに、1年のあいだ守ってくれたお礼として、トムテンのためにミルクがゆを置いておくのが、農家のひとたちの習わしです。ミルクがゆを忘れると、トムテンは怒って家のひとを病気にしたり、作物を枯らせたりするといいます。ストーリーはこのあと、人間たちのテーブルから、プルカとポルカがこっそりミルクがゆをはこぼうとする場面へと続きます。作者はスウェーデンのひと。クリスマスの雰囲気に満ちた読物絵本です。小学校中学年向き。
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