「ケーキやさんのゆうれい」(ジャクリーン・K.オグバン/文 マージョリー・プライスマン/絵 福本友美子/訳 フレーベル館 2007)
このあたりで一番のケーキ屋さん、コーラ・リーが亡くなったとき、町中のひとがお葬式にやってきました。最初はだれも泣いていませんでしたが、最後に牧師さんが、コーラ・リーの店で売っていたケーキの名前を読み上げると、みんなはじめて泣きだしました。コーラ・リーの店は売りにだされ、最初にゲルタ・シュタインが買いました。ところが、コーラ・リーの幽霊があらわれて、ゲルタを追いだしてしまいました。そのつぎは、フレデリーコ・スピネッリが、そのつぎはソフィー・クリストフが店を買いましたが、同じことのくり返しでした。
ところが、しばらくして大きな船でデザートをつくるシェフとしてはたらいていたアニー・ワシントンがやってきます。「ゆらゆらうごかない台所…、これがほしかったの」と、アニーはさっそく店内をきれいにし、ケーキをつくりはじめます。が、そこにコーラ・リーの幽霊があらわれます。
ユーモラスな語り口が楽しい読物絵本です。絵もカラフルでユーモラス。お話はこのあと、「わたしならつくれるけど、いままでだれもわたしにはつくってくれなかったケーキ」をつくれというコーラ・リーの申し出に、アニーがありとあらゆるケーキをつくってみせるという風に続きます。ラストのアイデアは「こぶたのおまわりさん」(シーブ・セーデリング/作絵 石井登志子/訳 岩波書店 1993)とよく似ているといえば、わかるひとにはわかるでしょうか。読みくらべてみるのも面白いでしょう。小学校中学年向き。
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