「もどってきたガバタばん(渡辺茂男/訳 ギルマ・ベラチョウ/絵 福音館書店 1997)
ネブリという町に住む男の子が、お父さんにオリーブの木でガバタ盤(エチオピアの将棋盤)をつくってもらいました。男の子は、毎朝、谷間に牛を連れていくとき、大事にガバタ盤をもっていきました。ある日、男の子が牛を追っていくと、ラクダを連れた男たちが、渇いた河原で火をおこそうとしていました。「このへんに木はないかい?」と訊かれたので、「このガバタ盤は木でできていますけど」と男の子がたえると、男はガバタ盤を受けとって、さっさと燃やしてしまいました。
ガバタ盤を燃やされて男の子は泣きだしますが、男は代わりに立派な新しいナイフをくれます。つぎに、男の子は川床に井戸を掘ろうとしている男に出会い、地面が固いのでナイフを貸してくれといわれ、ナイフを渡すと、男は力一杯掘りすぎて、ナイフを折ってしまいます。ですが、男はその代わりに槍をくれ、男の子が槍をかついでいくと、つぎに狩人たちがあらわれて──。
というわけで、ガバタ盤がナイフに、ナイフが槍に、槍が馬に、馬が斧に、斧が木の枝に、木の枝が…に、と次つぎに代わっていくお話です。絵を描いたのはエチオピアのひと。本書は、「山の上の火」(クーランダー/文 レスロー/文 渡辺茂男/訳 岩波書店 1963)に収められた、「しょうぎばん」を絵本にしたものだと奥付に書かれています。お話の最後、お父さんのセリフがおかしいです。小学校低学年向き。
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