「あなはほるものおっこちるとこ」(ルース・クラウス/文 モーリス・センダック/絵 わたなべしげお/訳 岩波書店 1979)
作者のルース・クラウスが、保育園や幼稚園の子どもたちと一緒に、さまざまなものごとを定義し直した絵本です。ほんの一部だけ引用すると、
「かおは いろんな かおを するためにあるの」
「いぬは ひとを なめる どうぶつ」
「あなは ほるもの」
などなど。副題は「ちっちゃい こどもたちの せつめい」。子どもたちの定義に、センダックが愉快な絵をつけています。小学校低学年向き。
以下は余談。作家の片岡義男さんに、「絵本についての僕の本」(研究社出版 1993)という、タイトル通り絵本についての本があるのですが、この本のなかで本書は最大級の賛辞を捧げられています。
「なんとも言いがたい、ゆとりに満ちたぜいたくな絵本だ。本当になんとも言いがたいから、僕はこのような絵本を、ひとまず宝物と呼ぶことにしている」
片岡さんは原書で読むのですが、片岡さんによる本書のタイトル訳は「穴とは掘るもの」です。ちなみに原題は「A HOLES IS TO DIG」。副題は「A FIRST BOOK OF DEFINITIONS」。片岡さんはこの一文をこんな風に訳します。
「ものごとや事柄の定義をもっとも初歩的に学ぶための、もっとも初歩的な本」
さらに、片岡さんは本書についての賛辞をこう締めくくっています。
「それにしても、それにしても、この本は素晴らしい。これは宝物だ。穴とは確かに、まず掘るものだ。掘らなければ穴はない。「穴は掘るもの」とは、本当に見事な素晴らしい傑作なタイトルだ」
片岡さんの「絵本についての僕の本」も、数ある絵本についての本のなかで、傑作のひとつといえるでしょう。
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