「私の船長さん」(M.B.ゴフスタイン/作 谷川俊太郎/訳 ジー・シー 1996)
私のいる棚の下の窓枠には、いっそうの漁船がいかりを下ろしています。そこからは、潮の香りがただよってきます。私は、なぜか船長さんが私に会いに上がってくるような気がします。そして、私は思います。彼はすぐに気づくだろう。私がビンのなかの船をもっていることや、貝がらをあつめていることに――。
小さな人形の〈私〉が、船長との静かな恋を想いえがく、という絵本です。人形の〈私〉は、こんなことを思います。
《もし私が船長さんに
何かをすすめるとして、
テーブルにブリストルのお皿と
銀の塩とコショウ入れをならべたら、
彼はきっと自分の運のよさに
びっくりすることだろう!》
シンプルこの上ない線画とことばが、読む者の胸に迫ります。大人向き。
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