「ボヨンボヨンだいおうのおはなし」(ヘルメ・ハイネ/作 ふしみみさを/訳 朔北社 2006)
昔、あるところにひとりの王様がいました。大きな国の立派なお城に住んでいましたが、とても忙しくて、遊ぶひまもありませんでした。夜遅くに自分の部屋にもどっても、頭のなかは心配ごとでいっぱいでした。ただ、寝るまえにちょっとだけ、ベッドでピョンピョン飛びはねると、王さまはそれはぐっすり眠れました。
ところが、ある晩ひとりのもの好きな大臣が、カギ穴から王様が飛び跳ねている光景をみてしまいます。翌日には、王様の庭の動物たちまで、「王様は、夜ベッドの上ではねまわるんだって」とささやく始末。ベッドではねまわるなんて王様らしくない振る舞いだと、大臣たちは会議を開き、王様は仕方なく、「夜、ベッドの上で飛びはねてはならない」というおふれをだします。が、ちっとも眠れなくなってしまった王様は、病気になってしまい──。
へんてこなくせのある王様のお話です。コラージュをつかったユーモラスな絵が魅力的です。簡潔な絵柄なのですが、ちゃんと王様がベッドの上で飛びはねているようにみえるから不思議です。ラストは、なんとも愉快な大団円が待っています。小学校低学年向き。
なお、この本は「王さまはとびはねるのがすき」(ヘルメ・ハイネ/作 松代洋一/訳 佑学社 1991)を改訂改訳したものです。読みくらべてみるとレイアウトもちがっています。タイトルは以前のもののほうがよかったと思いますが、どうでしょうか。
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