「月夜のみみずく」(ジェイン=ヨーレン/詩 くどうなおこ/訳 ジョン=ショーエンヘール/絵 偕成社 1989)
冬の夜、みんなが寝静まったころ、わたしはお父さんとみみずくを探しに森へむかいました。風はぴたりとやんで、木はまるで大男の銅像のよう。月の光がきらきらこぼれて、空一面にまぶしく、はるか遠くで汽車が汽笛を鳴らしました。松の森についた父さんは、「ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう」と、みみずくの歌声で呼びかけました。でも、返事はありません。そこで、わたしと父さんは、さらに森のなかに入っていきました。
わたしはじっと黙ったまま、父さんのあとをついていきます。みみずくに会いたければ静かにしなくてはいけません。父さんが再び呼びかけると、山びこのように返事が返り、みみずくの形をした影がふわりと飛んできて──。
文章は〈わたし〉の一人称による詩です。少し引用してみましょう。
《雪は しゃりっと こおってた
ふたりの足音も しゃりしゃりいった
足あとは 灰いろの ちいさなくぼみ
ふたりのうしろに てんてんてん
とうさんの影は ほっそり長い
わたしの影は ちんまりまるい
とうさんのあと おいかけて
ときどき ちょっと はしったら
ちんまりまるい 影ぼうしも
わたしのうしろで
はねていた》
絵は水彩。冬の夜、森のなかを歩いてみみずくに会いにいくという話を、臨場感たっぷりに描いています。1988年コールデコット賞受賞作。小学校中学年向き。
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