
「年をとったひきがえる」(バーニース・フレシェット/文 ロジャー・デュボアザン/絵 はるみこうへい/訳 童話館出版 2001)
暑い夏の日、年をとったひきがえるが岩の上にうずくまっていました。赤い色のリスが枝から枝へと飛びうつり、太ったヤマアラシが林の小道をのぼっていくのがみえました。それに、小さなシカが水を飲むのがみえましたし、キツツキがかえでの木をコツコツと突っつくのが聞こえました。ですが、年をとったひきがえるには、池の岸にそってゆっくりと歩いてくるサギの姿はみえませんでした。
お腹をすかせたサギは、ゆっくりと注意深くひきがえるに近づいていきます。ひきがえるは眠っているようにみえますが──。
のどかな風景のなか、カエルがサギに食べられそうになる、という絵本です。じわじわと近づいてくるサギが、たまらなく緊張感があります。でも、コラージュでできた絵は、むしろ静かな印象です。見返しの、水中からサギを見上げるひきがえるの悠ゆうとした態度が魅力的です。小学校低学年向き。
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