2012年10月4日木曜日

せいめいのれきし











「せいめいのれきし」(バージニア・リー・バートン/作 いしいももこ/訳 岩波書店 1979)

副題は、「地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」。左ページに説明文があり、右ページには、その時代が劇場でくり広げられる光景としてえがかれています。構成も劇を模したものとなっており、生命の誕生から、現代のいまこのときまでが、5幕の劇として展開します。目次を引用してみましょう。

プロローグ(銀河系の説明から前カンブリア代の原生代まで)
1幕 古生代(カンブリア紀から二畳紀まで)
2幕 中生代(三畳紀から白亜紀まで)
3幕 新生代(始新世から氷河時代まで)
4幕 現世(有史以前からアメリカでの白人の暮らしまで)
5幕 このごろのひとびとの生活
エピローグ

劇場の舞台には、天文学者や地質学者といった、さまざまな案内人(ナレーター)があらわれますが、5幕においてはバートン本人があ登場します。そこにえがかれている光景は、バートンが実際に住んでいた家だということです。また、時間の進みかたが徐々に遅くなり、最後にいたって、ついに「いま」とつながる構成は見事のひとことに尽きます。バートンの伝記「ヴァージニア・リー・バートン」(バーバラ・エルマン/著 宮城正枝/訳 岩波書店 2004)によれば、バートンはこの作品を完成させるのに、8年の歳月をかけたということです。まさに、バートン畢生の大作というべき一冊です。小学校高学年向き。

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