「星と月の生まれた夜」(D・グティエレス/文 M・F・オリベル/絵 山本厚子/訳 河出書房新社 1994)
昔むかし、はるかかなたの村に、闇夜がきらいなひとりのセニョール(男のひと)が住んでいました。セニョールは太陽の光のなかで、一日中竹かごを編んだり、動物たちの世話をしたり、野菜畑に水をまいたりして楽しく暮らしていました。でも、太陽が山のむこうにかくれると、いつも悲しくなりました。
ある日、太陽が姿をかくしてしまうと、セニョールはいちばん高い山に登り、頂上から叫びました。「おーい! 闇夜ー! 暗くするのをやめておくれよ!」。すると、闇夜はちょっとのあいだ暗くするのをやめました。そして、「光をどこに連れていってしまうんだい?」というセニョールにこたえました。「光は、わたしの後ろにかくれてしまうんじゃよ。わたしにはどうすることもできないんだよ」。
世界民族絵本集の一冊です。本書はベネズエラの絵本。物語も、ベネズエラの昔話から採られたのかもしれません。お話はこのあと、闇夜がいったことをくり返し考えたセニョールが、どうすればいいかわかったぞと、再び山に登っていって…と続きます。絵は水彩。夜空に星や月が輝きだす場面では、月や星がほんとうに光っているようにみえます。小学校中学年向き。
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