2011年11月2日水曜日

魔法のホウキ












「魔法のホウキ」(C・V・オールズバーグ/作 村上春樹/訳 河出書房新社 1993)

はるか昔、ある肌寒い秋の夜のこと、空を飛んでいたホウキは突然飛ぶ力を失って、乗せていた魔女もろとも地上に落ちてしまいました。落ちたところは、ミンナ・ショウという後家さんがひとりで住む家の野菜畑でした。翌朝、魔女をみつけたミンナ・ショウは、恐くてしかたがなかったものの、魔女を家のなかにはこびこみ、ベッドに寝かせてやりました。真夜中になり、傷が癒えた魔女は仲間を呼んで、そこから去っていきました。

さて、ミンナ・ショウは、魔女がいなくなったことには驚きませんでしたが、ホウキがひとりで勝手に床を掃いていることには驚きます。一日中、床を掃き続けるホウキに、別の仕事を教えてみると、ものおぼえのいいホウキは、ぱっとおぼえてしまいます。そのうちホウキは、薪を割ったり、水をはこんだり、牧草地から牛を連れもどしたり、簡単な曲ならピアノで弾けるようになります──。

「急行「北極号」で名高い、オールズバーグの絵本です。絵はモノクロ。絵というより、「場面」といいたくなるような、画像的な絵が、非常な精緻さでえがかれています。このあと、隣人のスパイヴィーさんがホウキを悪魔よばわりし、スパイヴィー家の子どもたちとイヌにからまれたホウキが自分の身を守ったことから、ホウキは焼かれるはめになってしまい…と、物語は続きます。絵も話も不思議な味わいの、幻想的な一冊です。小学校高学年向き。

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