「てんのくぎをうちにいったはりっこ」(かんざわとしこ/作 ほりうちせいいち/絵 福音館書店 2003)
昔むかし、大空がまだおナベをふせたようだったころ、森の丸太小屋に気のいいクマのばあちゃんが、親を亡くしたハリネズミのはりっこと一緒に住んでいました。クマばあちゃんは、はりっこによくこんな歌をうたって聞かせました。空の丸天井を支えている、天のクギを打ったのは、クマの鍛冶屋の大男、わが家のひいひいじいさまよ…た。大きくなったはりっこは、木にのぼって空を見上げ、「ぼくも天にのぼってみたいなあ」と思いました。
ある晩、ぎいーという音ともに、丸太小屋がぐらぐらゆれました。天のクギが抜けそうになっているのです。天のクギが抜けたら、天も地もこっぱみじんに砕けてしまいます。だれかがクギを打ちにいかなければなりません。そこで、はりっこは「ぼくだ。ぼくがいく」と、名乗りをあげます──。
空を支えている天のクギを打ちにいくという、壮大かつ勇壮なお話です。このあと、はりっこは、天につづくはしごの根元にいるヘビを打ち倒し、はしごを上って、クギを7回打ちにいきます。物語は、力強く進み、手に汗にぎらずにはいられません。はりっこの勇ましさが印象に残る、力強い一冊です。小学校低学年向き。
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