「まほうのかさ」(R.ファイルマン/原作 E.コルウェル/再話 松岡享子/訳 浅木尚実/訳 ジョン・シェリー/絵 「こどものとも」1999年3月号通巻516号 福音館書店)
昔、あるところにひとりの魔法使いがいました。魔法使いは1本の魔法のカサをもっていました。ある晩、仲間の集まりに市場にでかけた魔法使いは、そのカサを屋台に置き忘れてしまいました。次の日の朝、ひとりのお百姓さんがそれをみつけ、だれももち主がいなかったので、うちにもっって帰り、おかみさんに渡しました。
このカサの魔法とは、こういうものです。
〈このカサを手にもったまま、「1、2、3」と“3”まで数えると、どこにいても、つぎの瞬間家に帰ってしまいます。“5”まで数えると、そのとき一番いきたいと思っているところにいってしまうし、“7”まで数えると、空中に舞い上がって、一番近くの教会の塔のまわりをグルグルまわってしまいます〉
ある日、雨が降っていたので魔法のカサをもち、おかみさんが市場にタマゴを買いにでかけると──。
もちろん、このあとおかみさんは、“3”や“5”や“7”まで数えてしまいます。数を数える状況のつくりかたがとてもたくみです。予想通りのことが、予想外の新鮮さで語られるので、夢中で読んでしまいます。小学校低学年向き。
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