「ほら いしころがおっこちたよ ね、わすれようよ」(田島征三/作 偕成社 1980)
きょうはとびきりの上天気です。普段は失敗ばかりしているおじいさんも、こんな日はなにもかもうまくいくような気になってしまいます。ところが、ニワトリ小屋にタマゴをとりにいったおじいさんは、けつまずき、タマゴを落として割ってしまいます。おじいさんはしょんぼり、おばあさんはがっかり。でも、おじいさんは、どうすればさっきの気持ちにもどれるか、一所懸命考えました。そして、足元の小石をひとつ拾い上げると、なるべく明るい声でおばあさんにいいました。「な、ここに石ころがある」。手をはなすと、小石がぽとんと地面に落ちました。「ね、忘れようよ」
このあとも、おじいさんは失敗ばかりします。が、そのたびに2人は石ころや、長ぐつや、バケツや、ホウキを落っことし、失敗をなかったことにします。絵は、抽象的な、不思議な感じのもの。石ころを落っことして立ち直ろうとする2人ですが、それがかろうじてというところがおかしいです。また、とても身につまされます。タイトルも非常に印象的。子どもより、大人が気に入る絵本かもしれません。小学校低学年向き。
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