「公爵夫人のふわふわケーキ」(ヴァージニア・カール/作 灰島かり/訳 平凡社 2007)
昔、ある国に、お堀をぐるりとめぐらしたお城がありました。お城には、13人の姫さまたちと、公爵さまと、公爵夫人が住んでいました。ある日、姫さまたちのためにケーキを焼いてあげようと思った公爵夫人は、台所にいくと、「わたしは今からふんわり、ふんわり甘ーいケーキを焼きますからね」と、料理番にいいました。
ケーキのつくりかたを教えましょうという料理番の申し出を断って、公爵夫人はひとりで、ふわふわケーキをつくりはじめます。いろんなものを混ぜて、火にかけると、ケーキはどんどんどんどんふくらんで、公爵夫人をのせて、さらにふくらんで、とうとうお城の塔より高くなって──。
シンプルな線と色でえがかれた、ユーモラスな絵本です。ストーリーもおおらかでナンセンス。ケーキがどんどんふくらみ、のっている公爵夫人が上空に去っていくのを目の当たりにした公爵は、まったく動じず、姫さまたちにこういいます。「みんな、お母さまにいってらっしゃいをしようね」。公爵夫人も手を振り返しているのがおかしいです。訳者あとがきによれば、作者のヴァージニア・カールは、1950~60年代の、アメリカ絵本黄金時代を彩った絵本作家のひとりだそう。日本での翻訳は今回がはじめてだということです。また、訳者の灰島かりさんが、文章を語呂のよい日本語に仕立てています。小学校低学年向き。
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