2013年5月31日金曜日
ハーキン
「ハーキン」(ジョン・バーニンガム/作 あきのしょういちろう/訳 童話館出版 2003)
キツネのハーキンは、小さな山の上に、家族と一緒に暮らしていました。ハーキンの父さんと母さんは、子ギツネたちに、「この山だけで遊びなさい」と、うるさくいいきかせていました。「谷へ降りたりしたら、狩人にみつかって、ここまであとをつけられて、みんな無事でいられなくなるからね」。でも、ハーキンは山の上で遊ぶのにあきあきしていました。
こっそり谷にでかけるようになったハーキンは、沼を渡る秘密の小道をみつけ、そこを通ってウサギやニワトリをつかまえてくるようになります。ですが、ある夜、森の番人にみつかってしまい──。
副題は「谷へおりたきつね」。「ガンビーさんのドライブ」などで高名なジョン・バーニンガムの作品です。バーニンガムの経歴のなかでは、初期の作品にあたります。のちの作風にくらべると、絵柄もお話も密度があります。さて、このあと、キツネの一家は、狩人がやってきてみんな殺されてしまうとおびえます。いっぽう森の番人は、キツネをみつけたことを地主に報告。地主はキツネ狩りをすることにします。そこで、ハーキンは、「なんとしても狩人たちをここから遠くへ誘いださなくては」と、野原で狩人たちが近づいてくるのを待ち──。ハーキンの機転と勇気が痛快な一冊です。小学校中学年向き。
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