「ギルガメシュ王ものがたり」(ルドミラ・ゼーマン/文・絵 松野正子/訳 岩波書店 1993)
大昔、メソポタミアにギルガメシュという名の王がいました。神でもあり人間でもあるギルガメシュは、人間の心とはどんなものか知りませんでした。そのため、いつもひとりぼっちで、だんだん気むずかしく、残酷になっていきました。
ある日、ギルガメシュは、いつまでも自分のことを忘れないように、高い城壁を築くよう命じます。城壁は世界一高くなりますが、それでもギルガメシュはひとびとをはたらかせることをやめません。ひとびとは太陽神にお祈りし、太陽神はギルガメシュと同じように強いエンキドゥという人間を女神につくらせ、動物と暮らすように森へ送ります──。
世界最古の物語といわれる「ギルガメシュ叙事詩」をもとにした絵本です。本書は、シリーズ全3巻のうちの1巻目にあたります。絵は、レリーフ風の、どうやってえがいたのかわからない、品格に満ちたもの。このあと、森に住むエンキドゥは、ひとに知られることになり、エンキドゥを誘いだすために、神殿でいちばん美しく、いちばん歌のうまいシャマトが森へいかされます。ところが、シャマトとエンキドゥは愛しあうようになり、エンキドゥは残酷なギルガメシュを倒すため、ウルクの都へおもむきます。世界最古の物語にふさわしい、格調の高い一冊です。小学校中学年向き。
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