「ねずみの王女」(斎藤君子/文 二俣英五郎/絵 ほるぷ出版 1992)
昔、じいさまには3人の息子がいました。上の2人の息子は利口だったので、じいさまはたいそう可愛がり、なんでもいうとおりにしていました。ところが、末の息子はできが悪かったので、じいさまはぼろばかり着せていました。ある日、大きくなった3人は、嫁をみつけにいくことになりました。じいさまは、上の2人には立派な服と立派な馬をやり、末の息子にはなにもやりませんでした。
足の向くままに歩いていった末の息子は、森の中で一軒の小屋をみつけます。なかには一匹のネズミがいて、「旅のおかた、どちらへおいでですか」と、可愛らしい声で訊いてきます。嫁をさがしにいくところだと、末の息子がこたえると、「わたしを、あなたのお嫁さんにしてください」とネズミがいいます──。
ロシアとフィンランドの境、カレリアという土地の昔話をもとにした絵本です。あとがきによれば、カレリアは叙事詩「カレワラ」を生んだ土地だということです。このあと、おじいさんは、嫁が焼いたパンが食べたいと、うちに帰った息子たちにいいます。さっそく、兄たちは花嫁たちのところにでかけますが、ネズミにパンが焼けるはずがないと、末の息子は困ってしまいます。ですが、ネズミはじつは、魔法使いに姿を変えられた美しい娘で、末の息子が眠ると、仲間のネズミたちを指図して、美味しいパンを焼き上げます。最後、花嫁がネズミの馬車に乗っておじいさんを訪ねにいく場面では、大スペクタクルが展開します。小学校中学年向き。
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