2012年2月17日金曜日

黒グルミのからのなかに












「黒グルミのからのなかに」(ミュリエル・マンゴー/文 カルメン・セゴヴィア/絵 ときありえ/訳 西村書店 2007)

ずいぶん昔、ポールという男の子が、漁師村近くの小さな家に、母さんと2人で暮らしていました。ある朝、いつもならとっくに台所に立っているはずの母さんの姿がみえませんでした。部屋をみると、母さんはベッドに横たわって目をとじていました。「わたしはもうすぐ死ぬわ死神が、わたしをつれにくるの」

薬を買いに外にでたポールは、浜辺で黒いマントに身をつつみ、大きな鎌をもった老婆に出会います。老婆を死神だと察したポールは、鎌を奪い、刃を石でめった打ちにし、鎌の柄で死神を叩きます。柄をよけようとして、死神がどんどん小さくなると、ポールは死神をつかみ、足もとに落ちていた黒グルミのなかに押しこんで、海に投げ捨ててしまいます。

生死についての絵本です。絵は、手描きとコラージュを組みあわせたもの。彩度の低い絵が、テーマによくあっています。このあと、漁師村にいったポールは、広場で大人たちが魚もウシも殺されないで逃げてしまうし、麦は鎌にかからないと話しているのを耳にします。ポールから話を聞いた母さんは、驚き悲しみ、そこでポールは…と、お話は続きます。最後が悲劇的ではないのでほっとします。小学校高学年向き。

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