「えんぴつくん」(アラン・アルバーグ/文 ブルース・イングマン/絵 福本友美子/訳 小学館 2008)
昔、あるところに、1本のエンピツがありました。どこにでもある、なんてことのないエンピツでしたが、ある日、むくっと起き上がると、ぶるっとからだを震わせ、男の子をひとり描きました。「名前をつけて」と、男の子がいったので、バンジョーと名づけました。すると、「じゃあ、ぼくにイヌを描いて」とバンジョーはいいました。
エンピツ君は、イヌを描き、ネコを描き、2匹が走り回る家を描きます。みんながお腹がすいたというので、リンゴと骨とネコ缶を描くのですが、みんな、これじゃ食べられい、だって白黒だものといいだして──。
エンピツ君が書いた絵が、どんどん本当になっていくという絵本です。絵は、もちろんエンピツと水彩でえがかれたもの。みんなに、「白黒だもの!」といわれたエンピツ君は、ちょっと考えて、絵の具の筆を描きます。キティ(絵の具の筆の名前)のおかげで、世界はすっかりカラフルになるのですが、こんどはみんな、自分の容姿や格好に文句をいいはじめます。そこで、エンピツ君は消しゴムを描くと消しゴムは調子にのって、世界をどんどん消しはじめ──と、お話は続きます。みんなからの要望を、とんちを効かせて乗り切る、エンピツ君の活躍が楽しい一冊です。小学校低学年向き。
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