2012年11月16日金曜日

子うさぎましろのお話












「子うさぎましろのお話」(ささきたづ/文 みよしせきや/絵 ポプラ社 1978)

クリスマスがやってきて、北の国の動物の子どもたちも、サンタクロースのおじさんから、それぞれ贈りものをもらいました。なかでも、白うさぎの子ましろは、一番先にもらいました。贈りものは、銀色の玉やバラのかたちをしたクリームで飾ってある大きなお菓子と、部屋にかけるきれいな飾りでした。

さて、お菓子をぺろりと食べてしまったましろは、もっとなにかほしくなります。そこで、囲炉裏の燃えがらすりつけて、からだを黒くすると、帰ってくるサンタクロースのおじさんを待ちかまえるために、そっとうちを抜けだします。

クリスマス絵本の一冊です。巻末の「おわりに」によれば、この絵本は、作者である佐々木たづさんの2冊目の童話集「もえる島」のなかの一編をとってつくられたということです。絵は、クレパス(色鉛筆?)でえがかれた、北国の感じがよくでた簡潔なもの。文章はタテ書きです。このあと、黒く化けたましろのことを、サンタクロースのおじいさんはひと目で見抜きます。ですが、空っぽの袋のなかからひとつぶの種をみつけだし、自分のサンドウィッチと一緒に、それをましろに渡します。サンタクロースと別れたましろは、からだにつけた炭をとろうとするのですが、なぜか炭は落ちず、ましろは涙をこぼして──と、お話は続きます。初版は1970年。ましろの心の起伏がよくえがかれた傑作です。小学校中学年向き。

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