2012年11月2日金曜日

おいっちにおいっちに












「おいっちにおいっちに」(トミー・デ・パオラ/作 みらいなな/訳 童話屋 2012)

おじいちゃんは、ぼくの一番の親友でした。おじいちゃんの名前はボブ。ぼくの名前、ボビーの「ボ」は、おじいちゃんからもらいました。ぼくがよちよち歩きのとき、おじいちゃんは歩き方を教えてくれました。「あんよは上手。おいっちに、おいっちに」。ある日、ぼくとおじいちゃんは、階段の下にある納戸から、古い積み木をみつけました。積み木は全部で30個。うまく積み上がるときもあれば、くずれるときもありました。30個目の、ゾウの積み木をのせたとき、おじいちゃんがくしゃみをしたので、積み木はくずれてしまいました。ぼくはそれをみて大笑いしました──。

ぼくは、おじいちゃんのひざにのってお話を聞いたり、一緒に花火をみにいったりします。ところが、ある日、おじいちゃんは脳の病気になって入院していまいます。

「神の道化師」などで高名な、トミー・デ・パオラによる絵本です。このあと、退院してきたおじいちゃんは、じっとしているきりで、ボビーはなんだか怖くなってしまいます。「おじいちゃんはなにもかも、全部わからなくなってしまったのよ」と、お母さんはいうのですが、ボビーはそんなことあるもんかと思います。そして、階段の下の納戸から積み木を引っ張りだして、おじいちゃんの前で積み木を積んでいきます。おじいちゃんとぼくの友情をえがいた、美しい絵本です。小学校低学年向き。

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