「あまがさ」(八島太郎/作 福音館書店 1999)
モモは3つの誕生日に、2つの贈りものをもらいました。それは、赤い長靴と雨ガサでした。あんまりうれしかったので、モモは夜中に目をさまし、もう一度ながめたほどでした。ところが、あいにく暑い日が続き、お日様は毎日照っていました──。
モモは毎朝、幼稚園にいくとき、「どうして雨ふらないの?」とお母さんに訊きます。お母さんの返事はいつも同じです。「お待ちなさい。そのうち降るわよ」。雨の待ちきれないモモは、お日様がまぶしいからとか、風が吹いて目が痛くなるからとかいっては、カサをさそうとしてお母さんにたしなめられます。でも、ある朝、ついに雨が降って──。
八島太郎のえがく絵は、少ない色あいながら、大変カラフルです。雨が路面に降っている表現など、こんな風に雨をえがいたひとはほかにいないのではないかと思わせます。雨が降った日、モモは生まれてはじめて雨ガサをさしながら幼稚園にいくのですが、それはまた別のはじめてでもあったと、ストーリーはノスタルジックなおもむきで締めくくられます。小学校低学年向き。
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