「青い花のじゅうたん」(トミー・デ・パオラ/再話・絵 いけださとる/訳 評論社 2003)
三日のあいだ、コマンチ族は太鼓の音にあわせて踊りました。ようやく冬が終わりましたが、命をあたえてくれる雨は降りません。生き残ったわずかな子どものなかに、〈ひとりでいる子〉と呼ばれている女の子がいました。両親を飢饉で亡くした〈ひとりでいる子〉は、母さんがつくってくれた人形をとても大切にしていました。
丘の上から、まじない師がもどってきて、大いなる精霊たちのことばを語りました。「人間は、自分たちのことしか考えなくなってしまった。大地から恵みを受けるばかりで、なにも返そうとしない。大いなる精霊たちは、いけにえをささげるようにいっている。われわれがいちばん大切にしているものを燃やして、供えなければならない──」。
毎年、春になると、アメリカ南部テキサス州の丘は青い花におおわれるといいます。本書は、この青い花の由来について語った、コマンチ族の昔話をもとにつくられた絵本です。巻末の「作者のノート」によれば、青い花は「ブルーボンネット」といい、テキサス州の州花になっているそうです。また、ルピナスとか、バッファロー・クローバーとかいろいろな名前があるといいます(ここで、バーバラ・クーニーの素晴らしい絵本「ルピナスさん」を思い出します)。ひとりの女の子の勇気ある献身をえがいた、美しい一冊です。小学校中学年向き。
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